◇2010年4月入学式スピーチ
ダーウィンの愛
皆様こんにちは! 聖心学園東京保育専門学校にようこそ入学されました。
『おめでとうございます』そして『ありがとうございます』と申し上げましょう。多くの若者が目的や目標を持たず、ただ漠然と大学に進学しています。一方皆様は保育と幼児教育の重要性に着目し、伝統と実績のある本校への入学を選ばれました。このような決断をくだされた皆様を尊敬と感謝の念をもってお迎えいたします。本校では学ぶ意欲のある皆様を支援するために、多くの優秀で熱心な先生方が手ぐすねひいて待っています。皆様がこの学びの環境と機会を逃すことなく研鑽をつまれるものと固く信じております。
話はかわりますが、2009年は進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの生誕200年の年でした。世の中ではあまり知られていませんが、ダーウィンはヒトの進化の問題には相当頭を悩ませたようです。晩年になってようやく次のように結論付けました。『ヒトは同情、思いやり、そして愛の力により言語や道徳の習得・教育に成功した』と。それでは、現在この問題はどうなっているのでしょうか? 最近全容が明らかになったヒトの遺伝子とチンパンジーの遺伝子を比較しますと、その違いはわずか1.2%にしかすぎません。この遺伝子の違いや遺伝子の働き方の違いを研究した結果、『ヒトの進化はいくつかの遺伝子をオンオフするスイッチ遺伝子の変化によってもたらされ、このスイッチ遺伝子は物理的要因や化学的要因ではなく精神的要因つまり心の働きによって作動する』という説が有力になっています。ダーウィンの結論の正しさが現代科学により実証されつつあるといえます。今更ながらダーウィンの慧眼、その洞察力の凄さに感服いたします。
さて、ヒトの退化や人類社会の廃退を防ぐためには何が重要でしょうか? 私は愛の精神にもとづく保育と幼児教育こそが最も重要であると考えます。そうは申しましても喜怒哀楽の感情をあらわにし、発達段階も多様な子どもたちを適切にお世話することは並大抵のことではありません。『百聞は一見にしかず』という諺がありますが、さらに『百見は一行にしかず』、実際に行ってみないと分からないことが数多くあります。理想の保育・幼児教育は、知力、体力、技術、気力、そして愛の精神をともなう人格、これら全てが問われる大変なお仕
事です。いずれにしましても子どもが好きな皆様にとっては、苦労も喜びとなることと思います。実はわたくしも校長の一年生で希望に燃えています。お互いに楽しくがんばりましょう。
ここで少し私の自己紹介をいたしましょう。私はお茶ノ水女子大学で30年以上にわたって研究と女性研究者の養成という二足のわらじをはいていました。そして定年近くになり、名学長の誉れが高い本田和子先生にお仕えし、大学運営に関与する機会に恵まれました。この経験をいかし本学のお役に立ちたいと願っております。どうかよろしくお願いいたします。
最後になりましたが、皆様が愛の精神により子どもたちを幸せにし、かつ皆様方ご自身も幸せの道を歩まれますよう、心からお祈りいたします。
(東京保育専門学校2010年4月入学式スピーチ 松本勲武)

このウェブサイトは携帯電話でも同じアドレスでご覧いただけます。