◇2012年4月入学式スピーチ
自助・共助・校助・天助
ご入学おめでとうございます! 志の高い大勢の皆様をお迎えし、大変嬉しく思うと同時に責任を感じております。高校を卒業後直ちに進学された方が多数を占められていますが、大学や短期大学を卒業された方、社会人を経験された方々を含めて、保育と幼児教育の専門職としての実力を磨くために入学されたことと思います。皆様と同じように保育と幼児教育を重視する者として、皆様を敬意と感謝の念を持って歓迎いたします。あらためて「ようこそ!」そして「ありがとうございます!」と申し上げます。
学校の職員は皆様全員が所定の教育課程を修了し、めでたく卒業されることを心から願っております。保育士と幼稚園教諭の免許は、お金を払えばすぐに手に入るものではありません。皆様方ご自身が保育と幼児教育に必要な教養、専門知識、保育の技術・技能を習得しなければなりません。しかしながら誰でも得手不得手がありますから、気に入らない課題や授業があっても不思議ではありません。新しい環境の下でたとえ様々な困難があったとしても、諦めない心・折れない心を持って乗り越えて行っていただきたいのです。その力となるのが自助・共助・校助・天助です。
私どもは常に自己点検自己評価しながら、より良い教育学習環境を整える努力をしています。何か問題や困難を感じられる時には担任の先生、他の先生方、主事の先生方、さらには校長でも誰でもよろしいので気軽に声をおかけ下さい。本館1階には皆の声(Vox populi)と名付けられた校長直通の意見箱がありますし、校長の電子メールアドレスも公開しております。また臨床心理士が対応して下さる学生相談室もあります。どうか御活用ください。これらが皆様の学びの道を支援するために学校が整えている<校助>です。
学びの道では同じ学生・友達の立場で助けあい支えあい教えあうこと、<共助>も重要です。友達や職員との絆を深める絶好の機会として5月に開催される伊豆天城山荘における校外セミナーにご期待ください。そして<共助>の一端を担う御家族の皆様にも引き続いてのご支援をお願い申し上げます。
本校ではカトリックの精神を根本として有為な保育者を養成することを目的としております。皆様が卒業されるまでに、知識や技術を習得されることはもとより、是非この精神を学習し、人格を磨いていただきたいと願っております。
理事学監の晴佐久昌英神父様が励ましてくださったように自分自身を大切にし自信を持ってください。自らを助けること、<自助>は何よりも重要です。自分に自信を持つことにより周りの人々を『思いやる』余裕もできます。
本校の指導大学お茶の水女子大学の前身である東京女子高等師範学校の初代校長中村正直先生が『天は自ら助くる者を助く』という言葉を残しています。『自分自身が努力し学んでいると、神様がしっかりと見ていて下さって良い結果がもたらされますよ』という意味です。(12世紀の中国の儒学者胡寅(こいん)が著わした「読史管見」という書物の中に『人事を尽くして天命を待つ』という言葉があります。同じような考え方ですね。)
だいすきという東京保育専門学校を紹介するパンフレッドの中に、「皆様にとって本校が学び続ける習慣を身に着ける場になれば幸いです」という趣旨の校長メッセージがあります。授業に出席するだけが学びではありません。いろいろな困難や失敗を教訓にして前に進む行為、新たな事象や事柄を理解することも含まれます。これらも自助ですね。
新入生の皆様ならびに在校生を含めた全員の方々がご自身の自助を進化させ、天助を賜りますよう祈念いたします。
(東京保育専門学校2012年4月入学式スピーチ 松本勲武)