【2023年度卒業式】校長メッセージ(校長式辞)

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【2023年度卒業式】校長メッセージ(校長式辞)

2023年度 卒業式 校長メッセージ 「思いやりと勇気」 

 
 

ご卒業大変おめでとうございます。

 

皆様は、プロの保育者に必要なパスポートとなる幼稚園教諭二種免許状と保育士資格を取得して、保育・幼児教育の最前線に旅立って行かれます。
本当に素晴らしい旅立ちの日となりました。

 

すこし振り返ってみましょう! コロナ感染症の流行で緊急事態宣言が発令された時に、仕事を休むことができない職種として、エッセンシャルワーカーと言う言葉が広まりました。エッセンシャルワーカーの中でも、子ども達のお世話をする保育園の先生や幼稚園の先生、そしてお医者さんや看護師さんに代表される人達には、テレワークではなく、直接人と接しなければならない精神的ストレスがあり、その社会的重要性のわりには待遇が悪いことが世の中で広く認識されるようになりました。

 

皆様は、このようなネガティブな面ではなく、子ども達の成長をお世話し導くことの喜びと、社会貢献の意義を重視して東京保育専門学校に入学されました。そして、コロナ禍が続く中、学校内では「黙食」の注意書きや透明なアクリル板で囲まれた机などを意識されたことでしょう。しかし、皆様はこの様なストレスや不便さを物ともせず、互いに助け合い楽しみながら学びを続け、本日の卒業に漕ぎつけられました。熱意と勇気そして思いやりをもって、初志を貫徹された皆様を大変誇りに思い、尊敬し、心から感謝しています。本当にありがとうございます。

 

ある本で、子ども達が憧れる人のランキングベストファイブが紹介されていました。 
たしか、1位がお母さん、2位が竈門 炭治郎、3位が竈門 禰豆子、4位がお父さん、5位が先生 と記憶しています。スポーツのスーパースター、超有名な芸能人、カリスマミュージシャン、ノーベル賞受賞者など、競争社会を勝ち抜いて富と名声を手に入れた人が入っていない事には驚かされました。

 

このベストファイブに登場するのは、すべて身近の思いやりのある人です。
報道されているような、ネグレクトや虐待などが横行する一部の荒れた家庭環境とは別の、仲睦ましい家庭で、お母さんだけではなく、お父さんも子どものお世話をしている新時代の家庭環境を反映していると思われます。思いやってもらって、幸せと安らぎを感じているからこそ、思いやる側に立ちたい、学校で親身に教えてもらって嬉しかったのが先生に憧れる理由だと思います。

 

私が意外に思ったのは、アニメ鬼滅の刃の主人公二人が含まれていることです。ご存知のように、炭治郎は鬼に変えられてしまった妹の禰豆子を思いやり、鬼から取り戻し、二人で仲間を鬼から守る思いやりのある正義の味方です。

 

もう一つ別の見方もあります。炭治郎と禰豆子は勇気と良心の象徴、鬼たちは邪悪な心の象徴です。子ども達は自分の心の中に、悪い事をしようと誘惑する邪悪な心と、これを断ち切る勇気と良心がある事を、本能的に感じているのかもしれません。
邪悪な心が引き起こす悪事は、詐欺・盗み・強盗・暴行・殺人・性犯罪・パワハラ・セクハラなどたくさんあります。世の中では悪事を通報することを見下して”チクル”等と言い、通報者、特に内部通報者を密告者呼ばわりして非難し、毛嫌いする人たちがいます。これは、「所属する組織に迷惑をかけ、体面を汚すものは裏切者である」、あるいは「加害者の味方をしないと報復される」などと考える人が多かったからです。

 

しかし時代は進んでいます。「長いものには巻かれろ」「臭いものには蓋をしろ」「沈黙は金」ではなく、炭次郎や禰豆子のように命を懸けるぐらいの勇気をだして「悪事を通報しよう!」とする流れがあります。昨今のマスコミによる性犯罪者追及の勢い、パワハラ・セクハラ加害者追求の勢いには、すさまじいものがあります。「世の中に知られたくない!」という被害者の気持ちに付け込まれ、犯行の追及が妨げられていた構図が、被害者の勇気とそれを支持する人々によってぶち壊されたからに他なりません。

 

元陸上自衛官の五ノ井里奈さんは、陸上自衛隊の在職中に受けた性被害を実名で告発し、防衛省が自衛隊内での性犯罪防止活動を強化するきっかけを作った人です。五ノ井さんは昨年、英国BBCの世界の女性100人に選ばれ、今月4日には米国国務省の国際勇気ある女性賞を受賞されました。古い体質の日本を変える起爆剤になったと評価されています。

 

子どもたちに対する虐待・パワハラ・セクハラは言語道断です。職場での自身の立場が悪くなることを恐れず声をあげる勇気を持ちましょう! フランスでは、子ども達に対する虐待・パワハラ・セクハラを通報しなければならない義務があり、加害者は即逮捕、加害者が親の場合は親権を剥奪されます。日本よりはるかに厳しいルールがあります。

 

この話題はこのぐらいにして、明るいお話に移りましょう!
カトリックの愛の教えの中では、いろいろなレベルの思いやりがあると思います。
私のレベルでは、相手を思いやり、お世話し、励ますこと、特に明るい口癖が大事かなと思っています。「だいじょうぶ!」、「ありがとう!」、「すごいね!」、「面白いね!」、「すばらしい!」など沢山あります。口癖は自分や相手を信じ込ませ、本当にそのようになる効果があると研究者たちが報告しています。思いやりは、自分だけでなく周りの人の脳内活動を変え、幸福を感じる化学物質を増やし、病原菌やがん細胞を殺すナチュラルキラー細胞を増やす効果もあるということです。要するに、思いやりの行動は、私たちの社会的健康、精神的健康、身体的健康を改善し維持することに役立っているのです。口癖の自己点検をしてみましょう!

 

皆様には楽しい思い出が沢山あると思います。七夕ではそうめん流し、ハロウィーンでは、定番のお菓子の他に貝殻もあげて子ども達をびっくりさせたこと、聖心祭では、模擬店で子どもたちを大喜びさせたこと、作品展示で友人や来校者を魅了させたこと、手作りの食べ物がとても好評だったこと、そして劇、ダンス、音楽発表などがものすごく盛り上がったことが思い出されます。特に聖心祭の最後を締めた、実行委員長高橋南都さんのトロンボーンと房野三恵子先生のピアノによるアンサンブルは、プロのレベルの素晴らしさで、アンコール!アンコール!という歓声が鳴りやみませんでした。

 

お名残惜しいですが、このあたりで締めの言葉にいたします。
思いやりの口癖は、特別な費用や特別な時間もかからない、コスパ最高、タイパ最高の健康薬です。飲む薬ではなく、声を出すだけの薬です。 是非常用してみてください。
そして最後に、子ども達のお世話をどうかよろしくお願いいたします。
子ども達を守ってあげてください。
それでは、行ってらっしゃい!

 

松本 勲武

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