2015年3月卒業式スピーチ|保育士資格・幼稚園教諭免許の取得なら東京保育専門学校

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2015年3月卒業式スピーチ

まじめと幸せ

本日は皆様が待ちに待った門出の日を迎えることができました。真の保育者になりたいという気持ちを大切にして、日々真面目に努力を重ね、困難にもめげず一歩一歩前に歩み続けてこられた結果として、皆様は本日めでたく東京保育専門学校の卒業証書を授与され、同時に幼稚園教諭の免許と保育士の資格も取得されました。これほど喜ばしいことはございません。誠におめでとうございます。

 

4月からは3年次編入で大学に進む方、更には大学院修士課程において勉強を続けられる方もいらっしゃいますが、大方の皆様は保育や養護や幼児教育の第一線で先生としてのお仕事を始められます。お世話をしてもらう側から、お世話をしてあげる側へ、教えてもらう側から、教えてあげる側に立場を一転させることとなります。考えてみますと、先生が活躍できる職場があることは大変すばらしく、また大変ありがたいことでもあります。

 

昨年、インドの児童人権活動家カイラシュ・サティアルティさん(60才)とパキスタンの教育活動家マララ・ユスフザイさん(17才)がノーベル平和賞を受賞されたことは、皆様よくご存知の事ですね。世界には、宗教的制約、身分制度、社会的慣習、経済的理由などから教育を受けられない子ども達が何千万人もいると言われています。マララさんは2012年にニューヨークの国連本部に招かれ「すべての子どもに教育を受けさせましょう」と訴える歴史的な演説をされました。その演説の最後のくだり「One child, one teacher, one book and one pen can change the world. Education first. 一人の子ども、一人の先生、一冊の本、一本のペンが、世界を変えるのです。教育最優先です」と言うメッセージが世界中でツイートされています。

 

今でこそ日本ではほぼ100%の子ども達が教育を受け、高等学校への進学率は98%にも上ります。けれども明治維新のころは、「働き手の子どもを召し取られ、校舎建設も負担させられる」という不満から農民一揆があちこちで起きた時代でした。明治6年(1873年)における小学校就学率は28%で、これが100%に近づくのは日露戦争の後、明治38年以降でした。しかしながら問題は就学率だけではありません。今の日本の教育を更に優れたものにするために弛まぬ努力が必要です。皆様をはじめとする教員一人一人がその推進役です。私たちの周りから少しずつ変えて行きましょう。「One teacher can change the small world.」ですね。

 

話は変わりますが、皆様は、心肺蘇生術や自動体外式除細動器AEDの使用法、気道異物除去、止血などの講習に合格し、東京消防長から救命技能認定証を授与されました。これは大変心強い資格ですね。この講習の責任者の女性消防署員から「今年度の受講生は大変真面目で、これまでで一番よかったですよ」というお褒めの言葉をいただきました。また、今年度の聖心祭は、皆様が真面目に取り組んで様々な工夫を重ね、改善を加えた成果が顕著に顕れていて、私が5回経験させていただいた中で最高の聖心祭であったと思います。

 

もしかすると、皆さまの中には真面目であることは、かっこよくない、堅苦しい、ダサい、暗い、ストレスの元などと否定的にとらえて、自分の真面目さに誇りを持てない方がいらっしゃるかもしれません。実は日本語の真面目という言葉には、英語では一言で表せない多くの意味が含まれています。堅実、誠実、素直、愚直、本気、真剣、熱心、積極、勤勉、几帳面等々です。ですから真面目の功罪や良し悪しについて、いろいろな捉え方があるのも不思議ではありません。

 

真面目を科学した本も出版されています。順天堂大学の奥村康教授が、がん細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラーセル)の研究結果から、「まじめは寿命を縮める」という結論を出し、『不良長寿のすすめ』という本を書かれています。不老不死・不老長寿の不老ではなく、品行や性質がよくないことを意味する不良をあてています。その「不良」としては、ゲラゲラ笑い、脳天気(能天気の間違いではありません)で、なんでもほどよく食べ、運動はちんたらちんたらやるようにと勧められています。

 

一方、ハワード・フリードマンとレスリー・マーティンが著した『The Longevity Project』という本の日本語版『長寿と性格』を読んでみますと、逆のことが紹介されています。スタンフォード大学のルイス・ターマン教授が1920年代に始めた知能指数IQの社会科学的研究が出発点となり、後継者のフリードマン達が、被験者の子ども達一人一人を生涯にわたって追い続ける大規模で包括的な調査研究に発展させました。その膨大な資料が解析され、人の性格と健康長寿に関する意外な事実が明らかになりました。これを極々簡単に紹介しますと、明るく社交的で超楽観的な人は意外にも不幸せで早死にする傾向があったこと、悲観論者ではなく、勤勉で真面目な人が長寿で、幸福度の高い人生を送っていたということです。

 

最後になりましたが、卒業感謝ミサで晴佐久神父様がお話し下さったように、私達が神様の愛に包まれている事を信じ、皆様が安心と希望と自信を持って、悲観的ではなく真面目な良い面をさらに進化させ、末永く幸福な人生を送られますよう祈念いたしまして、お祝いの言葉とさせていただきます。
それでは、行ってらっしゃい!

 

(東京保育専門学校2015年3月卒業式スピーチ 松本勲武)

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